ベルゲン通信2月号「可処分時間」

 ベルゲンの開校とほぼ同じ時期に「カタリバ」という子どもたちのためのNPO法人が設立されました。今回の能登半島地震でも、子どもたちが安心して過ごせる居場所を各地に開設したり、「災害時の子どもの生活ガイド」というウェブサイトを公開したり、学校再開に向けてのストーブ・灯油の提供をしたりという地域の様々な団体と連携した支援活動を開始しています。その代表である今村久美さんがインタビューの中で「可処分時間」という言葉を使っています。もちろんご自身の時間の使い方もそうでしょうが、現代は多様なメディアが忙しい人たちの可処分時間を奪い合う時代だという指摘をされていました。

 中3の社会科で最後に習うのが公民なのですが、学校ではどうしても駆け足の説明になりがちです。でもこの塾の切り札「理社予想」問題にはちゃんと入っていますのでご安心ください。その中の経済分野で「可処分所得」という考え方があります。言葉そのものは教科書には載っていませんが、消費支出と非消費支出の違いや社会保険、公共料金、累進課税などとの関係で理解しておいてほしい言葉です。具体的にいえばみなさんが社会人になった時に、給与から税金や社会保険料を除いた「手取り額」として自分が実際に使えるお金のことです。

 ところが所得にはどうしても格差があるのに対して、時間はだれにも平等です。そして所得であれば税金などに相当する、どうしても必要な睡眠時間や食事の時間はたとえ受験生であっても削るべきではありません。肝心なのは限られた時間の中でタイパを意識しながらも、自分で可処分時間の使い方に優先順位をつけていくことです。もちろんボーっとする時間もあった方がいいと思うならそれも自分なりの時間の使い方でしょう。でも様々なメディアにただ流されていく時間に自分の意思はあるのかということです。

 人生にムダな経験はありません。しかし経験の幅を狭めるような時間の使い方は人生のムダにつながるかもしれません。