ベルゲン通信12月号「中高生のための『かたづけ』入門」

 師走の慌ただしさが例年より一層感じられます。年内にかたづけておきたいことは山ほどあって、その中でも普段は見えていないふりをしているモノのかたづけがやっぱり気になります。

 そこで「かたづけ」とは何か、どうするべきかのヒントを得ようと「中高生のためのかたづけの本」という岩波ジュニア新書を引っ張り出してみました。収納デザイナーの杉田さんと九州大学の佐藤さんの共著は行動経済学の「現状維持バイアス」や「脳内物質のアセチルコリン」などの言葉も出てはきますが、あくまで実践的です。かたづけというと「モノを整理し、捨てること」だけと思われがちですが、そうではなくて「出す→分ける→選ぶ→収める」の一連の流れがあるそうです。これまでうまくいかなかった人は、この手順を知らず「捨てる」作業だけをやろうとしてきたのです。現状を写真に撮るから始め、まずすべて出して分けることをします。この時に「いる・いらない」の判断はせず、「①好きなモノと②生活に必要なモノの2つを選ぶ」作業に時間をかけ、さらに①②の基準で選べなか った③手放せるモノ④迷うモノを選別します。私たちはこの迷うモノがたくさんありそうですが、それを迷いの総量として把握することがキモのようです。

 かたづけなくても自分でどこに何があるかわかっているからこのままの方がいいんだという言葉もよく耳にします。でも何でも詰め込んでいそうな流行りの大型リュックに肝心の塾のテキストがないと探し、逆になんでこんなものがあるんだろうと昔のプリントが出てくることも。動物型の大容量ペンケースに満杯の筆記具から必要なペンを探せない人も見かけます。同じことが自分の机の周辺で起きていませんか。だったら結局はみつからないものをさがして時間をむだにしています。年末はかたづけ力を鍛える良い機会です。

 最後に著者からのエールを紹介しておきましょう。“人生は選択の積み重ねです。かたづけトレーニングで選択力は確実に身に付きます。その力があなたの人生を幸せにしてくれます。”