ベルゲン通信4月号「正々堂々と弱音を吐く」

 4年ぶりの卒業ライブにはたくさんのみなさんにお集りいただきありがとうございました。本当に楽しい時間を過ごせました。そして新社会人となる講師の先生方を元気に送り出すこともできました。            

 さて新入学や新学年を迎えると環境の変化に慣れるまでが大変です。例えば高校へ入学したばかりのみなさんは、ラッシュ時の通学で疲れる、中学より一段とハードになった部活に驚く、予想よりもどんどん先に進む授業に戸惑うといったことがあるでしょう。そんな時もそれを乗り越える力をつけるんだという気持ちで向かっていってほしいものです。でも、そういったことをすべて自分だけでため込んでしまうと心が折れてしまいそうになるかもしれません。時にはちょっと弱音を吐いてもいいのだと私は思います。

 ヨシタケシンスケさんという絵本作家が雑誌で“正々堂々、弱音を吐こう”と題して上白石萌音さんと対談しています。その席で上白石さんがヨシタケ絵本ワールドのことを次のように語っています。「疲れている人や、ちょっとうまくいっていない人に『大丈夫だよ』と言うんじゃなくて、ある種の逃げ道を用意してくださるというか、メイン通りじゃない路地を作ってくれる。『これでもいいんじゃない?』って。その提案がとってもリアルで『あ、この考え方なら私にもできる』と思えるんです。」最新刊の「おしごとそうだんセンター」という絵本はまさにそんな世界を見せてくれていて、仕事を探す宇宙人にお仕事相談センターのお姉さんが“仕事をするってどういうことか”一緒に考えてくれます。合間に挟まれる44の“めずらしいおしごと”の絵とその裏面にある“おしごと内容”の説明に思わず頬が緩んでしまいます。

 問題を解くときに、時々「100%間違えてる自信ある」なんて言う人がいます。予防線を張って、居直って、照れ隠しをしてという気持ちからでしょうが、だったら正々堂々と「ここまではわかるけどここからが理解できないから、もう一度教えて!」とはっきり弱音を吐きましょう。それが結局は強さにつながるのですから。